どのような仕事をするのか
患者さんの状態や希望は人それぞれ異なるため、ターミナルケアは病院だけでなく外来や在宅など様々な場所で行われています。それぞれの場所で看護師がどのように働いているのか、詳しく見ていきましょう。
病院でのターミナルケア
全国には厚生労働省が指定した「がん治療連携拠点病院」が401ヶ所、「地域がん診療病院」に指定された病院が36ヶ所あります。このような病院ではターミナルケアの体制が整えられていることが多く、医療スタッフも日々勉強を重ねています。また、病院によってはターミナルケア専門のチームを作り、各病棟を訪問しながら患者さん1人ひとりの悩みや不安に対応しているところもあります。
専門のスタッフが配属されている
ターミナルケア専門の病棟を設置している病院では、ターミナルケアについて専門の知識を持ったスタッフが多く配属されています。そのため、病気による苦痛や吐き気、だるさや呼吸困難など、患者さん1人ひとり異なる症状に応じて適切なケアを行っています。身体的な痛みは孤独感や気分の落ち込みなど心のつらさにも影響を与えてしまうため、薬剤などを使った医療的なケアや精神的なケアなど幅広く行っています。
医療処置は必要最低限
残された時間を自分らしく穏やかに過ごすことを目的としたターミナルケアでは、医学的に必要な検査や処置を行うことよりも、患者さんやご家族の意思や希望を優先しています。そのため、医療行為は必要最低限に留め、それぞれ思うままに時間を過ごせるように配慮したデイルームが設けられていたり、季節に合わせたイベントが開催されていたりと様々な工夫がされています。ベッドから起き上がることが難しい場合はストレッチャータイプのベッドに変えて、病室から移動しやすくしたり、お風呂で入浴できるようにしたりなど、それぞれの状態に合わせて日常生活を楽しく過ごせるようにしています。
また、一般病棟では面会時間が設けられているため、ご家族や友人と会う時間が限られ、ペットとは面会できない、などの制限がありますが、ターミナルケアではご家族や友人と過ごしやすいように様々な配慮されています。自由に面会できるだけではなく、病院によっては個室の場合は家族も泊まることができたり、休憩できるスペースや簡単なキッチンやシャワーが設置されていたり、と充実した設備が整っています。
在宅・外来でのターミナルケア
「病気を持っていても、できる限り住み慣れた自宅で生活したい」と望む人も多い今、在宅でのターミナルケアも増えつつあります。自宅で穏やかな日常生活を送るためには、入院時と同じようなターミナルケアを継続していかなければなりません。ターミナルケア専門の外来がある病院なら主治医と連携を取りながら継続的なターミナルケアが提供できます。また、最近は在宅ケアに力を入れている訪問看護ステーションも増えてきているため、そちらと連携を取りながら在宅ケアを行うことも可能です。
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働く前に知っておきたいこと
つらい治療を続けてきた患者さんも多いため、より質の高いケアを提供するためにはある程度の経験があるベテラン看護師や病気に対して深い知識を持っている看護師が求められています。ここではターミナルケアで役に立つ認定看護師の資格も一緒に紹介していきます。
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看護師の役割と必要な心構え
ターミナルケアでは治療よりも残された時間を平穏に自分らしく過ごすことを重要視しているため、看護師には高度な医療技術よりも患者さんをよく理解し気持ちに寄り添うことが求められています。また、回復が見込めない患者さんばかりなので、看護する虚しさ、やりきれなさを感じることが多く、精神的な強さも必要です。
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まずは概要を紹介
ターミナルケアとは、死に直面した患者さんが残された時間を自分らしく過ごし、満足できる最期を迎えるための手助けをすることです。治療で無理に延命するのではなく、平穏に過ごせるように苦痛を取り除き、快適に過ごせるように患者さんの気持ちに寄り添ってケアをしていきます。
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