場所によってターミナルケアの内容は異なる

看護師のためのターミナルケア入門

これからの時代に欠かせない「ターミナルケア」とは

このような場所で行われる

「ターミナルケアを行う場所=患者さんが人生の最期を過ごす場所」です。自分らしく満足できる最期を迎えるためには、患者さんが望む場所でターミナルケアを行うことが大切です。しかし、病気の症状や家庭の都合などで希望が叶わない場合もあります。

このような場所で行われる

在宅でターミナルケアを行う場合

在宅で行う場合はご家族が中心となってケアをしていきますが、患者さんの症状によっては点滴や酸素吸入などの医療処置が必要になるため、医師や訪問看護師との密接な連携が欠かせません。しかし、いくら必要な処置とはいえ、長期入院していた患者さんの中には点滴することを苦痛に感じる人もいます。その場合は医師や看護師と相談しながら必要な医療処置や看護師の訪問回数を決めていきます。
また、寝たきりの患者さんの場合、背中やお尻に褥瘡ができてしまうことがあります。褥瘡は大変な苦痛を伴うため、褥瘡ができないように数時間ごとに身体の向きを変えなければならず、介護するご家族にとっては大きな負担となってしまいます。患者さんにとってはご家族がいる住み慣れた自宅はとても安心できる場所ですが、ご家族に負担がかかってしまうことも考慮し、余裕を持ってターミナルケアができるように環境を整えることが大切です。

介護施設でターミナルケアを行う場合

近年は老人ホームなどの介護施設でターミナルケアが行われるケースが増えてきています。「看取りケア」とも呼ばれ、医師や看護師だけではなく介護職員やケアマネジャー、栄養士などが連携してターミナルケアを行っています。
介護施設でターミナルケアを行う場合は、患者さんやご家族と介護施設側が信頼関係を築けるかどうかが重要なポイントです。高齢化の影響もあって介護施設の数はどんどん増えているため、専門家に相談しながら希望通りのケアができる施設かどうかを施設選びの段階から慎重に見極めることが大切です。

病院でターミナルケアを行う場合

病院でターミナルケアを行うこともできますが、入院できるのは「余命が6ヶ月以内のがん患者もしくはエイズ患者」に限られているため、状態によっては希望が叶わないこともあります。ただし、在宅や介護施設でターミナルケアを受けていた人が、容態が急変して運ばれた場合は病院で終末期を過ごします。
病院によってターミナルケアの形は様々です。ターミナルケア病棟として病院の上層階にあったり、敷地内に独立した形で置かれていたりする場合もあります。病院内の医師や看護師、薬剤師や臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどが専任スタッフとしてチームを組んで行うこともあります。

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