働く前に知っておきたいこと
ターミナルケアは医療処置よりも患者さんの望む最期が迎えられるようにケアすることに比重を置いているため、より質の高いケアを行うためには病気に対する深い知識やある程度の看護師経験が必要です。
3年~5年の経験が必要
ターミナルケアのスタッフとして働くためには看護師としてある程度の経験が必要です。なぜなら、ターミナルケアを必要としている患者さんはつらい治療を続けてきた人が多いため、経験がある看護師の方がこれまでの治療歴を理解し、より質の高いケアを提供できるからです。
看護師の資格とある程度の経験があれば、ターミナルケアのスタッフとして働くことは可能ですが、臨床看護のエキスパートといわれる認定看護師の資格があれば、働く上でもっと有利になります。
認定看護師とは
看護の高度化や専門化を後押しするために設けられた制度です。認定看護師の資格を取得することで、水準の高い看護が提供できるだけでなく、一般の看護師に指導したり、業務上の相談を受けたりと看護現場のエキスパートとして働くことができるようになります。認定看護師は看護師のキャリアアップにも欠かせない資格ですが、それなりの実務経験を必要とし、教育機関で専門教育を受けなければ取得できないため、いい加減な気持ちでは取得できません。
認定看護師の資格を取得するために
認定看護師の資格を取得するためには通算5年以上の実務経験(そのうち取得を希望する特定分野での経験が通算3年以上)と、特定分野における5例以上の担当実績が必要です。
実務経験を積んだ後、認定看護師教育機関に出願し、検定に合格したら所定の認定看護師教育機関で専門の教育を615時間以上受講します。教育機関では「共通科目は105時間以上」「専門基礎科目は時間規定なし」「学内演習・臨地実習は200時間以上」を受講することが決められていますが、講座は昼間に開講しているため日勤シフトで働くことはできません。
認定看護師の資格を取得する場合は事前に「希望する特定分野の仕事ができるか」「希望する特定分野で看護実績を積むことができるか」「教育機関での受講中は夜勤シフトに切り替え、もしくは休職扱いにしてもらえるか」「受講料の支援や費用貸与制度があるか」などを確認しておくことをおすすめします。
ターミナルケアで有利な認定看護師とは
現在、認定看護師は21分野に分かれていますが、ターミナルケアで役に立つのは「がん性疼痛看護認定看護師」と「がん化学療法看護認定看護師」の2つの資格です。「がん性疼痛看護認定看護師」は、がんによる痛みの緩和と適切な薬剤投与に関する知識や技術が習得できる資格で、「がん化学療法看護認定看護師」は、がんの化学療法投薬の管理や副作用を緩和するための知識や技術が習得できる資格です。
ターミナルケアを受けている患者さんの症状は様々ですが、その中には「がん」を患っている人も少なくありません。がんの症状とその治療について専門的な知識や技術があれば、患者さんによりよいケアが提供できるようになります。
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まずは概要を紹介
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